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こんにちは、フラメンコギタリストの松村哲志です。
地方でライブをするとたまに
「どこから来られたんですか?」
と聞かれることがある。
で、
「湘南から来ました。」
と答えると、
「なぜ関西弁なんですか?」
と不思議がられたりする…-_-b
(なんで関西弁って…)
ま、それは、ただ関西で育って、
いま湘南に住んでいるからなんだが…d( ̄  ̄)
それ以外には、
「サーフィンですか?」
と聞かれることもある。
一応、サーフボードは持ってるし、
興味はあって何回か行ったことはあるのだけど、それは全く関係はない。
さて今回は、なぜ湘南に住むようになったのか?
それについて話したいと思います。
18才で関西から上京して来て池袋に住んでいた最初の夏に、
同郷の友人達と一緒に江ノ島の東海岸海水浴に来たのが最初の湘南。
夏なので、まるで祭りのように人が多くて、
すごい賑やかなところ…というのが第一印象だった。
だが、もともと釣り好きだった自分は遠くに見える江ノ島を眺めながら、
「あの裏側まで行けば何かデカい魚が釣れそうだな…いつか行ってみたいな~」
と実は思っていた。
その後、あるキッカケがあって釣りにハマることになったのだが、
当時、働いていた釣り好きの先輩から
本物の釣り師になるなら、やはり黒鯛を釣らないと一人前とは言えない!
といわれ、
早速、釣り新聞を購入して黒鯛が釣れるところを探した。
時期は12月の末…
冬なので水温が低く、
釣れる場所は限られていたが…その中に江ノ島があった。
よし!行く場所は決まった。
どうにか道具を揃えて、
奥さんと一緒に江ノ島へ向かった。
釣れるのはわかったが、
ポイントがわからないので釣り餌屋に寄って訊くと、
そこにいたおじいさんが案内してくれることになった。
江ノ島の山を20分ほど掛けて越えて、
裏磯まで行くと岩屋洞窟の入口があった。
その手前でおじいさんが指を指して、
「あそこが大平という名の磯だよ。
あの水溜まりの前の岩の割れ目がポイントだよ。」
といった。
続けて、
「あそこの水溜まりは深さ1,5mくらいあるから…気をつけなよ!
たまにハマる人がいるからね。笑」
と教えてくれた。
(まさか、いくらなんでもあそこには落ちないでしょ…そこまで鈍臭くはないよ。)
と内心あざ笑っていた。
そのポイントでは先客が釣りをしていたが、
すでに帰る用意を始めていた。
手には黒鯛が一匹ぶら下がっていた。
お~っ!
すごい!
胸が高鳴った。
(本当にいるんだ…)
急いで用意して、
餌を撒いて釣りを始めたが、
まぁ、そんなに簡単に釣れるはずがない。
大した防寒着も身につけていないので、
2人でブルブル震えながら釣り続けた。
一年で一番日が短い時期なので、
夕方16時過ぎにはもう暗くなっている。
しばらくすると、
釣り師のグループがやってきた。
グループの人達は防寒は万全でヘッドライトをつけながら釣りを始めた。
30分ほどしてその中の1人が
「おっ、来たぞ!」
と叫んだ。
ちらっと見たら30センチくらいの黒鯛(海津)を釣っているではないか…
こっちは朝からずっとやってんのに、、、
心の中ではメラメラと闘志が湧いていた。
そんな気合と反してこちらは全くアタリがない。
後半の中潮だったので、
だんだん潮が磯に上がって来て靴がびしょ濡れになって来た。
(ヤバイな…あとどれくらい出来るかな?)
と焦ってると、
いきなり波がドーンと這い上がって来た。
それを避けようとした、
その時…
ドボーン!
うっ、あろうことか、
水溜まりに思いっきりハマってしまったのである。_| ̄|○
(ま、まじか…(゚o゚;;)
慌てて這い上がったが、
時すでに遅し…
首から下は海水でびっしょりになってしまった。
チーン…
あざ笑っていたせいかどうかはわからないが、
あえなく、釣りは終了。
防寒具もないのに、
真冬にびしょ濡れになってどうやって東京まで帰ったらいいのだ!
黒鯛は釣れないし、穴にはハマるし、
散々の1日だ。
(もう、二度と来ないぞ!)
と、心に誓いながらブルブル震えながら帰り道の山を登り始めると…
途中にあった食堂から電気の灯りが見えた。
そして、
そこを通り過ぎようとした時、
ガラガラ…
中から、お店のおばさんが偶然出て来た。
おばさんはこっちを見て、
「この寒いのにびしょびしょじゃないの?どうしたんだい?」
と訊いてきた。
こっちが事情を話すと、
「まぁ、中に入りなさい!息子の着替えを貸してあげるから!」
と言ってお茶とお漬物を出してくれた。
そして、しばらくの間、
ストーブの前で服を乾かしながら
おばさんは江ノ島のいろんな話をしてくれた。
・黒鯛は素人にはなかなか釣れない…
・釣れるまでに何年もかかる人がいる。
・ベテランでも1年や2年釣れない時もあるくらい…
と教えてくれた。
そして、おばさんは
「着替えは返さなくてもいいよ。
また、江ノ島に遊びに来て顔を出してよ。
いつか黒鯛が釣れたらおばさんが写真を撮ってあげるから!」
と言ってくれた。
心が温かくなった。
こんなこと、関東にやって来て初めての体験だ…というか、人生初体験だ。
丁寧にお礼を言ってその場を後にし、
それがキッカケで毎週末の江ノ島通いが始まった。
翌週、
早速、江ノ島に到着して食堂に顔を出すと
「あ、来てくれたのかい!今日は釣れるといいね!」
と、先週と同じくにこやかにおばさんは迎えてくれた。
まるで女神のような人だ。
食堂の中を覗くと、
先週、グループで釣りをしていた人達が屯していた。
(あ~、ここの常連さんだったんだ…)
ということは、
(今日も夕方あたりに魚は釣れるのかな?)
と思いながら釣り場に向かった。
水溜まりの前のポイントはすでに先客がいる。
仕方ないので、
横の浅そうな場所で釣ることにした。
オキアミをつけて一投目。
投げるとゆっくりウキは流れた。
そして、海中に向かって少し沈んだ。
反射的に合わせを入れると、
グイグイと魚の引きが手に伝わった。
(ん?なんだこれは?引くな~)
しばらくすると海面から魚の姿が見えた。
ギラリ!
黒鯛だ!
興奮して手が震えて仕方がなかったが、
なんとか根性で陸に引きずり上げた。
ズルズルッ!
目の前には、銀色の立派な黒鯛が横たわっていた。
38cm、1kg
黒鯛を見ると、
ますます足はガクガク震えて手はブルブルと震えた。
震えを止めたいのだが、
興奮し過ぎて止めようにもどうしても止まらないのだ。
(あ、そうだ。おばさんに見せよう!)
何とか必死で震えを止めて、
黒鯛を大事に抱えて食堂へ行った。
おばさんは目を剥いて
「すごいね~!もう釣れたのかい?」
と言って何枚も写真を撮ってくれた。
その後、江ノ島通いを繰り返すうちに、
おばさんを通じていろんな人との出会いが重なって行った。
そして、食堂の釣りグループの人達と
毎週末、一緒に黒鯛釣りをするようになったのだ。
親交は釣りだけではなく、
夏には釣りをしながらみんなでBBQをやったり、
前の晩から来た時は食堂に一緒に泊まったり…都内で待ち合わせて飲みに行ったり…
本当に自分にとって長閑で楽しい思い出がいっぱい詰まった時代だ。
しばらくして、
自分はスペインへ行くことになったが、
それまでの間は毎週バイトと釣り…そんなことを繰り返していた。
19才から23才までの間の話である。
そして今も尚、
その時知り合った人達がライブに来てくれたりする。
しかし、思い返せばこの繋がりの全ての発端は…あの、水溜まりだ。
いまになって本当にハマって良かったなぁ…と、しみじみ思う。
ハマった自分にオレー!だ。
そしてもう1つは、
おばさんがあのタイミングで出て来てくれなかったら
二度と江ノ島には来ることはなかった…ということ。
びしょ濡れの最悪の状態から、
あれ以上ないタイミングで天使が舞い降りた瞬間だった。
あの2つがなかったら絶対に湘南に住むことはなかったと断言できる。
水溜りにハマったおかげで、いま自分は湘南に住んでいるのだ。
スペインへ旅立った後も、
そこで仲良くなった人がマドリッドまで
お金を入れて小包を送ってくれたことが2回もあった。
これまでの人生の中でも、
ひときわ人の温かさを感じた時代…
そんな経緯があって湘南に住むことは、
スペインに行ってしばらくして決めていた。
それまでは、
どこに定住するとか考えたこともなかったが、
将来は湘南に住む!…とだけは決めていたのだ。
自分がフラメンコギタリストになって仕事を始めた頃は、
「何故湘南に住んでるの?」
「遠くて交通費もかかるのに…?」
と人からよく聞かれた。
理由をそこまで毎回説明出来なかったが、
そんな経緯があって今ここに住んでいるのだ。
実際、当時は自分のようになんの所縁もないのに
湘南に住んでいるフラメンコ人は他にいなかったが、
今はフラメンコロイドのメンバーも全員湘南が気に入って移住して来た。。
P.S
先日、浜松でライブでやったんですが、
その時に浜松の方からあげ潮というお菓子をいただきました。
浜松の隠れた名物ということなんですが、
食べてビックリ!
う~ん、まだまだ知らない美味い物がごろごろあるんだな…と思いました。
浜松はうなぎパイだけではありません!
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