LECTURE

フラメンコの解説

フラメンコはスペイン南部のアンダルシア地方の
伝統芸能であり、特にアンダルシア地方西部が盛んです。

そして、観光客が集まるような都市には「タブラオ」と呼ばれる
フラメンコショーが見られるレストランが数多くあります。

タブラオのフラメンコは、いわゆる観光客のためのショーであり、
これこそが「フラメンコ」だというと、またちょっと違います。

本来の自然なフラメンコの姿とは異なります。

タブラオは値段も高いので地元の人達はほぼ行きません。
(自分は行ったことがないです…)

そして、一番驚くことがあるんですが、
スペインと言ってもみんながフラメンコが好きなわけじゃなくて、
ほとんどの人が全く興味がないと言う事です。

これはスペインに行った時、驚きました。

ただ、アンダルシアに行くとそこらじゅうから
フラメンコが聞こえて来るので、みんな馴染みはあります。

フラメンコの世界は歌と踊りとギターの3つの要素で成り立ってます。

それぞれが独立したアートで、
それぞれに独自の世界があり、
それぞれが個別に発展を遂げて来ました。

そして、それに加えて、

パルマ(手拍子)とハレオ(掛け声)があり、近年になってカホンが登場。

中にはパルマだけで生計を立てている人もいます。

今やスペインでは、
カホンはフラメンコにとって当たり前の存在になっています。

日本では、未だに踊りが大多数ですが、
スペインのフラメンコの世界は踊りよりも、
音楽としてのフラメンコの発展が目覚ましいです。

今ではさまざまなジャンルが生まれています。

原始的なスペインのフィエスタでは、
ギター無しでテーブルを拳で叩く(ヌディージョ)
と歌だけで行われることもあります。

それが朝まで続くことがあり、
拳からは血が出ることもあるそうです。
(血が出ても続けるらしい…)

そんな素朴なフラメンコもいいですが、
やはりギターが入ると一層華やかになって盛り上がります。

フラメンコギターの昔と現在

昔のフラメンコにはギターがないことも多かったようです。

ギターは大変高価なものだったようで、
あるスペイン人ギタリストの話によると、

「マルセロ・バルベロ」という人が
作ったギターは1940年代頃で500ペセタしたらしく、

500ペセタといえば、農家の人が一年間
働いて稼ぐ金額だったそうです。

その時代は、ペグも木製のものがほとんどで、
金属製は全て手作りだったため大変高価な物だったそうです。

使用されている金属は『銀』でした。

というわけで、小さな村には一台のギターもない
ところが多く、

そんな所にギターを持っていけば
引っ張りだこだったそうです。

最近は、ギター製作もほとんど機械で
作っているので安価になって普及し、
現在の歌い手は、ほぼ全員がギターを弾きます。

弾けるといっても、
ギタリストよりも上手いことが多々あります。

特に歌の伴奏はギタリストよりも
上手いことがよくあります。

フラメンコの成り立ちと種類

よくフラメンコは
カンテと呼ばれる歌から出来て、
ギターが出来て最後に踊りが出来たと言われてます。

自分は

踊りが最初で次に歌が出来て
最後にギターだと思っています。

何を持って踊りとみなすのか…?にもよりますが…

子供が芸を覚えていく順をみると
これかな?と思います。

さきほども言いましたが、日本では、
踊りこそがフラメンコのイメージとして浸透していますが、

スペインのアンダルシア地方ではカンテがフラメンコの中心です。

フラメンコにはパロと呼ばれる形式が
40以上もあり、その中にリズムのあるものないものがあります。

リズムは3拍子、4拍子、それと両方混ざった12拍子があります。

その形式の中には意味が曖昧なものもあります。

例えば代表的な形式に「ソレア」「ブレリア 」「アレグリアス」があります。

「ソレア」は孤独という意味なんですが、
歌詞は実は孤独ばかりではありません。

ロマンチックな歌詞もあります。

「アレグリアス」は喜びという意味ですが、
戦争の歌詞もあったりします。

要は、歌詞の意味というものが重要なものもありますが、
そこまで意味が大事じゃないものも多いらしいです。

フラメンコの歌詞は歌うためのキッカケに存在するものであって、
歌詞の意味よりももっと大事なものがあるといいます。

リズムのほうをもっと大切にしています。

そして、フラメンコの世界で最も人気のある「ブレリア」には
「ふざける」とか「からかう」という意味があるそうです。

なのに、フラメンコでは一番難しい形式だと言われています。

あの「パコ・デ・ルシア」もブレリアが一番弾くのが難しいと言っています。

自分自身の経験によると、ジプシーの演じる「ブレリア」が圧倒的に魅力的です。

その中に入ると、気がついたら何時間も過ぎていた…
という経験を何回もしました。

そんな重要なカンテの中には、

「カンテ・ホンド」とか、「カンテ・インテルメディオ」

「カンテ・チーコ」

いろんな属性があって、
何を持ってそうなのか自分達にとってはっきりしないものも多いです。

例え、意味を知ったとしてもフラメンコができるわけではないのですが…

ジプシーとスペイン人とのフラメンコの違いとは

スペイン人とジプシーのフラメンコは
別の種類に思えるくらい違いがあります。

しかも、フラメンコ談義になると
スペイン人は結構専門的になっていろいろ説明をしてくれるのですが、

ジプシーは歌い手の名前すら間違える人が結構います。

あるファミリーの踊り手と仕事をした時のこと、

打ち上げで、
その踊り手は甥っ子と2人でフラメンコを聴いていました。

自分が、

「何を聴いてるの?」

と訊くと、

「えっ…、なんだっけ?」

と、
2人でボソボソ相談し始めました。

自分がその曲を聴いてみると、
あるヘレスの歌い手だとすぐに自分はわかったんですが、

2人は、セビージャの歌い手だったかな?

とか言っていました。

そんな感じで、

家の中やコミュニティーで聞こえてくる
歌しか知らない人も実際にいるようです。

そして、
こんなこともありました。

ある超有名な歌い手が家で歌を教えてくれた時のこと、

自分が歌詞を聞き取ってスペイン語で書いているのを見て、

「おい、メロンシート!
歌詞を日本語で書いた方が楽じゃないのか?」

と言ってきました。

「えっ!」

と思いながらも、

歌詞を、カタカナで書いて、そのまま読んでみたら

「ビエーン!合ってるよ!」

と言い、こっちがビックリしたことがありました。

実際、ジプシーはRとLを間違えて使ったりもあるそうです。

それとは逆に
人から聞いた話なんですが、

スペイン人はかなり歌詞の意味とか
発音とかについて細かいことを言ってくるそうです。

実際に、
言われてる人を何人も見たことがあります。

これらはどっちもがフラメンコです。

後は、自分が何に感じるか?

ですね。