衝撃を受けた3台のフラメンコギター

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こんにちは、メロンシートです。

さて、今回はいい楽器ってどんなものなんだ?
ってことをメモがわりに書いていこうと思うんだけど、
そもそもそんなもの人それぞれにあるんだから書きようがない。(笑)

ん〜思い返して見ると、
今まで弾いた楽器は余裕で1000台は超えてる。

えっ、1000台???

って嘘だと思うでしょ?

でも、これホントの話なんですよ。

まぁ、スペイン時代が一番数を弾いていたかな。

1996年頃から帰国する1999年までの間、
ほぼ毎日のようにギター屋に入り浸っていたんだけど、
ギターが出来上がる度に「弾いてみるかい?」といってよく弾かせてくれた。

別にギターが弾きたくて入り浸っていたワケじゃなくて、そんなんではなく…
工房で販売しているギターに張られて古くなった弦をもらいに行ってたんだけどね。

スペインの街中でストリートミュージシャンをやってるのみんな知ってたから、
なんせ日本人一人だから、頑張れよ!みたいな感じでよく弦をくれた。

住んでいたのはマドリッドだったけど、
夏になるとマドリッドの人達はアンダルシアへみんなバケーションしに行くので、
バスに乗って追いかけて行った。

そこでも、工房を見つけては弦をもらってギターも弾かせてもらったが、
その当時のアンダルシアの楽器はほぼセラック塗装だったので、
傷つけないように「ボタンに気をつけてね!」とよく言われた覚えがある。

そんな中でも、やはり一際目立った楽器っていうのがあって、ホントに凄いのが…
結局は、そういうのをずっと追いかけているわけです。

よく、料理人が「あの、忘れられない味を!」って言ってるのを聞くけど、
あんな感じにすごーく近い気がする。

衝撃のギター マヌエル・レジェス

初めてフラメンコギターを大量に弾いたのは、あるギタリストの家でだった。

あるギタリストっていうのは

ファン・マジャのことなんですが、
家の一室はズラーっと、まぁギター部屋になってて、30台くらいはあったかな?もっとかも…

で、その時の自分はまだほとんど弾けなかったのに、
弾いていいよ!」というので、遠慮なく弾かせてもらった。

次々とギターを出してきて弾かせてくれ、
その時、ついでにそれを作ったギター職人の名前も教えてくれた。

アルカンヘル ヘルンディーノ  マヌエル・レジェス
コンデ・エルマノス ドミンゴ・エステソetc

あ、ペドロ・ペレスっていうのもあったな。
(後のペドロ・デ・ミゲル)

そん中で、ファン・マジャが自慢の一台を出して来てくれた。

それは出来立てホヤホヤのレジェスだった。

ファン曰く、そのレジェスができるまでに

なんと7年 待ったらしい…

しかも、値段は

100万ペセタもしたという

100万ペセタ=95万円程度(1996年頃)

なのに、そんなギターを弾かせてくれるという。

恐る恐る抱えて弾いてみると、<その時の自分目線で…>
すごく軽い音がした。で、多少弾きにくさもあった。
大事なギターなんで遠慮して弾いてたんで、そう思ったのかもしれない。
でもそんな高価なものだとはわからなかった。

どうだい!?

と笑顔で問いかけてくるファンに

はぁ〜ええと思います…とお茶を濁すしかなかったが

その時…

これと弾き比べてみぃ!

とファンがまたまた笑顔でもう一台のレジェスを差し出した。

年式をみると88年作と書いてある。

そこそこ傷もあって、これならノンストレスで弾けそうだ!とか思いつつ
適当に弾き始めると…

 

うっ…

 

なんだこの感触は…

 

初めて触った瞬間から完全に手に馴染むではないか!
音も似ていて軽いんだけど微妙に粘る感触があって何よりバランスがいい。

 

そんな感じでどう見ても気に入っている自分に対して、ファンは、

やっぱり100万の楽器がいいだろう!

と笑顔で言い放ってきた。

ええっ、そそそうかなーーー???(汗)

その日まで、レジェスの名前すらも知らなかったが、
この瞬間、いつかこんなギターを持ちたいなぁと思った。

そんな風に思っていると叶うもんで、これまでに20台近く弾いて来た。
人のレジェスや店で売ってるのを合わせたら余裕で60台以上は弾いている。もっとか…

中には、信じられないくらい鳴らないのもあったけど、
いいレジェスって、ホントにバランス良くて独特な音色がする。

年代によってキャラは違うけど…

あ、そうそう、ファンがこんなことを言ってた

レジェスは小振りだから自分には弾き易いんだよ

へぇ〜!

ギターに小振り大振りってあるんだ!

これもまた衝撃でした。

あ、そういや左手の負担をなくすために弦高をギリギリまで下げていたね。

 

もうひとつ衝撃のギター ヘルンディーノ

 

この衝撃から、2ヶ月後くらいたったある日のこと、
ある工房で知り合ったアメリカ人ギタリストの家へ遊びに行くことになった。

彼は、モロンのスタイルのギターを弾いていて、
古いいい感じのギターを持ってるといっていた。

家はラバピエス近くにあって、
入ると簾が掛かっていてなんだかスペインっぽくない。

聞くところによると日本風が好きなんだそうだ。あーだからか、家に呼んでくれたのは、
と思ってると、部屋の奥の方の壁にギターが掛かっていた。

これは?って聞くと

あぁ、これはこないだ買ったんだよ!

とギターを持たせてくれた。

中をジロジロ見ると、

SOBRINOS DE DOMINGO ESTESO 1970

て書いてあった。

かなり古いギターだ。
自分が生まれる前の楽器だとか言って
すぐに自分の生まれ年と比較してしまう。

すると

FELIX DE UTRERA から買ったんだよ!

と教えてくれた。

かなり有名なギタリストだね。状態もすごく綺麗できっと大切に使ってたんだろう…

で、弾いてみた感想なんだけど、
何となくボヤッとした音色で少し力んで弾いてしまうなぁと思った。

何というか、色が無いというか…まぁ自分にとってはイマイチだった。

その他に、68年のコンデとか弾かせてもらったが、
あのファンが持ってたレジェスのような独特さは全く感じなかった。


ほな、そろそろ帰ろかな?
と玄関へ向かった

その時…

一台のギターが無造作にスタンドに掛かっていた。

あっ、これも弾いていい?

あ〜もちろん、弾いていいよ!

 

初めて見る木ネジのギターだなぁ〜とワクワクしながら触ったその瞬間…

 

うっ…

なんだこの感触は…

初めて触った瞬間から完全に手に馴染むではないか!
とここまではファンのレジェスと一緒(笑)

まず、音が前にストレートに出る。
音色は荒々しいんだけど強烈にうねる感じとバランスが凄い!

これなんてギター???

ヘルンディーノだよ!

へぇー!

と中を見ると、1973年製と書いてあった。

まさかだった…ファンの家にもヘルンディーノはあったけどこんなんじゃなかったしなぁ、
もしかしたら、あのレジェスよりも全然凄いかも…と思った。

えっ?もしかしてこのギターいらんの?

と訊いてみたが…

んなわけないだろ!(笑)

あ〜  そりゃあそうだね。

その日から、頭の中はヘルンディーノでいっぱいになった。

ヘルンディーノはこれまでに3台弾いてきて、最初に持ってた1987年製のが一番良かった。
が、今は無い。売ってしまったのだ。アホである(笑)

人の楽器を合わせたら、15台くらい弾いている。いや、もっとだな…

3度目の衝撃ギター コンデ・エルマノス…多分

 

それからしばらく経ったある日の事、
一緒に住んでいたドイツ人がマドリッドでフラメンコが聴ける店があると教えてくれた。

その店は、今はもうないが…カバ・バハ通りにあった

La Solea

という店だった。

そこは、たまに凄いアーティストが来て

パコ・デ・ルシアトマティートやビセンテ・アミーゴ

たちが立ち寄ったのを運よく見ることができた。
もちろん、弾いてくれた時もあった。

その店にはアルフォンソというギタリストが専属でいて、夜な夜な歌い手の相手をしていた。

当時の自分は全くお金がないので、コーラ1杯で明け方7時くらいまで粘っていたので
かなり鬱陶しい客だったはずだ。だから半年近くはほとんど相手にされなかった。

そんな客が全くいないある日のこと、アルフォンソが

ギター弾くか?

と言ってきた。

まぁこれも仲良くなるチャンスになるかな?と思い、ギター受けとって弾いた途端…

 

うっ…

なんだこの感触は…

初めて触った瞬間から完全に手に馴染むではないか!
とここまではファンのレジェスとヘルンディーノと一緒(笑)

音に丸みと粘りがあって、まとまっている。
音量もあって音色はどこか鼻の詰まったような感じ。

これはなんてギター?

う〜ん…多分コンデ

えっ、なんで多分なん???

実は、このギター最初からラベルあらへんねん…

これも衝撃だった。

詳しく聞くと、昔、とある子供から貰ったんだそうだ。

ヘッドの形は紛れもなくコンデだが、これも訊いたところによると、
昔は後進国へ向けてラベルなしのギターを作っていたそうだ
…まぁ本当かどうかはわからないが、

だけども、この時弾いた多分コンデよりも鳴るコンデは今まで弾いたことはない。

結局、いいフラメンコギターって何なんだ!

自分なりに分析したところ、

感触

に尽きると思う。

この音が出るとか出ないとか、バランスが良いとか悪いとか、まぁ色々あるけど、
どんなギターも欠点はあるわけですが、そんなもん超えて来るんですよ。

好みとか、そんなの関係なく。
なんかね、音量とかバランスとかそんなんじゃなく本能に突き刺さってくる。

手の感触は計れないから…人によっても違うし

ただ、衝撃を受けた3台のギターが
今の自分のギター観になってるのは確実。

そこから比較してあーだこーだ言ってます(笑)

それ以降はそこまで感動したものに出会ってない…というか、
その3台は本当によかったんだろうね。

マドリッドに住んでいた頃は、そんな感じで近くの5〜8件の工房に入り浸っていて、
だいたい月3本くらいは新しいギターが出来てくるから、月20本ほどは平均で弾いていた。

ということは、年240台になる。
ということは…それを3年は繰り返してたからそれだけで720台になる(笑)

それ以外にも、当時のスペインの工房は奥に古い楽器がいっぱい置いてあった。
例えば、コンデのグラヴィーナ工房にはドミンゴ・エステソが20台以上あったし、
ソブリーノスラベルのも15台くらいあった。

50年代後半のギターには内部まで塗装されているのがあったり、
表面の塗装もセラックに何か色を混ぜているようなものもあった。

きっとその時代は試行錯誤しながら製作してたんだろう。

ニーニョ・リカルドのヘッドと同じのも一台あった。
その中ではそれが一番好きだったけど、60万ペセタと言ってた。

未亡人が、誰か欲しい人に売ってもらうために、
買った工房に持ってくるのが習慣らしい。

そういえば、ペドロ・デ・ミゲルの工房にヘルンディーノの黒が3台あったな。

まぁそんな感じで、ラーメン語るにしても、
月2、3杯より、週2、3杯の方がはるかにいいし…だから迷うってのもあるけど。

楽器屋巡りもいいけど、いろんな人のを弾かせてもらったりして
これって楽器に巡り会うという話でした。

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