自然発生的といわれるへレスのフィエスタで知った真実

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こんにちは、久しぶりに8時間熟睡して気分爽快のメロンシートです。

 

気分がいいので、今回は自分のフラメンコ人生の中で、
もっとも楽しかった出来事を話したいと思います。

 

時は2009年…

 

その当時作ったアルバムを

 

あの「トマティート」に聴いてもらおうと
スペインまで持って行った時のこと。

 

ある日、ひとりでセビージャをプラプラしてた時に

「あ、そうや、明日ヘレスにでも行ってみよかな?」

と、突然思い立った。

 

実は、それまでヘレスには一度も行ったことがなかった。

 

なぜか足が向かなかった。

 

特にちゃんとした理由はない。

 

みんながヘレスは凄い凄いとか、
最高だぁ~!とかいってヘレス詣でをしてるのを横目に、
そんな日本人の多そうなとこ行ったら大変だろうと敬遠してただけだ。

 

というわけで、

「明日はヘレスに行くぞ~!」

と目覚ましを8時にセットして就寝…。

 

翌日…

 

目を開けたら、なんと12:30を過ぎているではないか(;゜0゜)

 

いくらなんでも寝すぎた自分に呆れつつも、

「ヘレスに行くのやめよかな?」

と、かなりめんどくさくなったが、
バスで行くのを辞めてアヴェで行くことにした。

 

この決断が後に奇跡を生むことになるとは…
この時、全く夢にも思っていなかった。

 

午後2時50分にヘレス到着。

 

思ったより綺麗な駅で腰抜かしそうになったが、
何とか持ちこたえとりあえず歩き始めた。

 

それにしても、なんも調べて来てないので
どこになにがあるのかサッパリわからない。

 

仕方なくそのまま、
まっすぐの道をひたすら早足で歩いた。

 

しばらく歩くと、ビジャマルタが見えた。

 

ここがビジャマルタか!と通り過ぎたら
どこからか歌とギターの音がして来た。

「おっ、流石ヘレスやな。でも何か雰囲気が変やけど…」

 

テラスに座って食事している人達を相手に歌ってる人が見えた。

 

フランス人のギタリストだ。

 

向こうもこっちに気がついて、
さささっと、こちらに寄って来た。

 

フ「日本から来たギタリストかい?」

自分「うん、そうやで。」

フ「あ、そうか、ほなヘレスの街をちょいと案内してあげるよ。」

自分「あ、マジで…頼むわ。」

 

と、こんな感じに話が進行して
一緒にどことなく歩き始めた。

 

いや~、それにしても天気がいい。

 

6月の日差しが目に突き刺さってきて、
サングラスがなかったら歩くのも大変なくらいである。

 

そんな中、

パケーラ・デ・ヘレスの生家や

マヌエル・トーレの銅像や

いろいろ教えてもらいながら歩いてると…

気がつくと自分達2人はバルに入ろうとしていた。

 

なんてバルだろう?と見ると、

【ペーニャ・ラ・ブレリア】

と書いてある。

 

如何にも、フラメンコ好きが集まりそうなバルだなと思いつつ、
ここがどんなとこなのかサッパリわからないままフランス人について中に入って行った。

 

右側にあるカウンターへ…

 

自分達はビールとカラコーラスを頼み、
(カラコーラス=カタツムリ)

 

フランス人と乾杯!

 

フゥ~

 

と一息ついて周りを見まわすと
テーブルに3人のヒターノが座ってた。

 

きっと常連なんだろうな~

 

なんて考えていると

 

テーブルに座ってたひとりのヒターノが
とことこ歩いて近づいてきた。

 

ヒ「オラ~!ギター持ってるけど何か弾いてみなよ!」

フ「えっ、ううん、じゃあ~」

 

と、フランス人はどう見ても気が乗らない感じで
ブレリアを弾き始め、軽~く歌いはじめた。

 

すると、そのヒターノはすぐにパルマを叩き始め
フランス人を食い入るように見つめた。

 

それに何かを感じたフランス人は
歌いながら目をパチクリさせ、何故か異常なほど汗をかいていた。

 

歌い終わると、フランス人は

「じゃあね~(汗)用事思い出したし帰るわ!」

と、どう見てもウソをついて、
自分が飲んだビール代も払わず逃げて行った。

 

ん…

 

まぁ、ビール代くらいはいい。

 

そんなことはどーでもいいんだが、
なぜあんなに必死になって、まるで「磯のカニ」のように退散していったんだろうか?

 

う~ん…

 

きっと自分のわからないところで
何かが起こっていたのは間違いない。

 

まぁ、だからと言って自分もすぐに帰るのもシャクなので、
もう一杯ビールを追加で注文した。

 

時計を見ると15時半…

まだ、ヘレスに着いて40分か。

 

次はどこに行こうかな?

 

と、会計を済ませて出て行こうとすると

 

ヒ「おい、日本人!お前のギター見せてくれ!」

と言ってきた。

 

ほら、  やっぱり、  来た来た。

 

と予想していた通りヒターノは声をかけて来た。

 

自分「かめへんで~」

と言って、ギターを出すと、

今度は

ヒ「ちょっと弾いてみて!」

と言ってきた。

 

自分的にはさっきのフランス人とのやり取りを
一部始終見てたので、

さて、自分だったらどうなるのか…?

と、非常に知りたい気分になり、

自分「かめへんで~」

といってソレアを弾き始めた。

 

すると、先ほどのヒターノがおもむろに歌い始めた。

 

おっ、なかなか上手いな…
と、内心思いながら伴奏を続けると

 

今度は隣のおっさんがファンダンゴを歌い始めた。

 

いったい何が始まってるのか、
その時点ではさっぱりわからない自分…

 

とにかく必死で伴奏した。

 

残る最後のヒターノはかなり若かった。

 

なんか歌う雰囲気じゃなさそうだ。

 

自分「なぁ、歌わへんの?」

といってみた。

 

すると、

 

若ヒ「実は俺、ギターやねん」

と言ってきた。

 

う~ん、なんだか楽しい。

 

「オラ~!ケパッサオンブレ~」

かなり大柄のおっさんがひとりで入ってきた。

 

みんな知ってる人のようだ…

 

さっきファンダンゴを歌ってたおっさんが
こんどはソレアが歌いたいとリクエストしてきた。

 

なんか寿司屋のオヤジになった気分だ。

 

ソレアを歌い終えると、

 

ニコニコしながら先ほど入ってきた
大柄のおっさんが話しかけてきた。

 

大柄「なぁ、いつからヘレスにいるんだい?」

自分「今きたとこやで〜」

大柄「それはわかる。見たことない顔だからな…だから
ワシが聞きたいのは、ヘレスにいつから住んでるのか?ってことだよ。」

自分「せやから、ヘレスは初めてですわ。さっき駅に着いたとこやねん。」

大柄「ま、まじで(汗)なのにここでこんなことしてんの?」

自分「そうや~。めっちゃ楽しいわ。」

大柄「そりゃそうやろ~!アントニオはいる、モリートはいる
ミヒータもいる。お前はマジで幸せモンやぞ!こんなこと普通はありえへん」

自分「へぇ~、そうなんや?」

大柄「当たり前や!ヘレスってなかなかコミュニティーに
入れてくれへんねんぞ~!よかったなぁ!おめでとう!」

 

…そんなことを言われて、
なんか照れてしまうが、なかなか無い事だというのはわかった。

 

で、またしばらくの間2人が歌ってると、
それを聴いておびき寄せられた人達がどんどん集まってきた。

 

しかし、今日の主役はなんと言っても「自分」である。

 

みんなの注目を浴びながら伴奏を続けていると、
その中のひとりが言ってきた。

 

「なぁ、ヘレスでこんなことになっててすごいな!
やっぱりモライートが1番好きなんだろ~?」

 

モライートのことはそこまでよく知らない。

 

というか、知ってるとは
いえるほどじゃないので正直に答えるしかない。

 

自分「いや、自分はトマティートが好きやねん!」

するとそこにいた全員が

「それはあかん!トマティートはフラメンコ知らんぞ!
あ、だからお前のレマーテは違うんだ~!
トマティートのレマーテは強すぎる。ワシらはもっと…こんな感じに…」

と、口々に言い始めた。

 

一瞬、変な方向に進むのかな?

 

と思ったが、なぜかそんな雰囲気じゃない。

 

完全にお祭りのようになっている。

 

急にひとりの若いヒターノが

若ヒ「名前はなんていうねん?」

と言ってきた。

 

まぁ、ここはスペインだから日本名より
スペインで呼ばれてる名前を言おうと

自分「メロンシートやで!」

と言った。

すると、

そこにいた全員が、

「メ、メロンシートーーー!わぁーーーーー!
いったい誰が付けたんやその名前!」

といってきた。

 

自分「コンチャ・バルガスが付けたんや」

というと、

若ヒ「そうなんかー!おもろいな!なぁメロンシート、
喉乾くやろ?何か飲むか?ビールがいいか?」

と言ってきた。

 

頷くと

 

キンキンに冷えたビールが前に置かれた。

 

う、うまい!

 

喉が乾いてる自覚さえ全く自分ではないくらい
伴奏に集中してたことを知った。

 

それにしても、
側でそれを見てすかさず用意してくれる判断力に
彼らの仲間に対する思いやりを感じた。

 

すると今度は、ミヒータ・イホが
ある曲をリクエストしてきた。

 

どうやら自分のアルバムの一曲が歌いたいらしい。

 

その曲はソレア・ポル・ブレリア で
ディエゴ・デル・モラオが伴奏していた。

 

最初はリブレから始まるらしい…

 

ミヒータが歌う音をなかなか拾えないでいたが、
周りが助けてくれて、あーだこーだ教えてもらいながら伴奏することができた。

 

その曲が歌えたミヒータは満足そうにガハガハ大笑いし、

ミ「なぁメロンシートよ!頼むからもう一回弾いてくれよ!」

と言ってきた。

自分「ええよ~!」

といって、弾き始めると
嬉しそうにミヒータは歌い始めた。

 

歌い終わると、また大きい口を開けてガハガハ笑った。

 

今度は子供達5人が話しかけてきた。

子「メロンシート!いまこれを駄菓子屋で買ってきたんだけど、
食べてみてよーーー!!!」

と、メロンの形をしたガムを差し出した。

予想はしていたが、

ドキドキしながら自分を見つめる
子供達の前でガムを食べた。

 

すると、子供達は

 

子「わぁー!食べた食べた!メロンシートがメロンのガム
食べたよー!共食いだー!」

なんて幸せなところなんだヘレスは…

この世にはすごい世界があるのがわかった。

 

子供からお爺さんまで老若男女が一体になれるコミュニティー。

 

こんなことを異国の地で
味わえるなんて夢にも思わなかった。

 

完全に、今ここにいるみんなは一体になってる。

 

そう確信した。

 

みんなも確信していたのか、

 

今度は意外なことをみんな言い始めた。

 

「なぁ、メロンシート!トマティートの
ファルセータを弾いてくれへん?」

 

えっ?

 

なんかの間違いかと思った。

 

すると再び、

「なぁ、メロンシート!トマティートの
ファルセータを弾いてよ!」

自分「もちろん、いいよ!
みんなちゃんとパルマ叩いてな~!」

「もちろん、いいよ~!」

といって、みんなのパルマに乗せて
トマティートのブレリア を弾いた。

 

すると、

 

オレーーー!!!!!

 

とみんなが大盛り上がりで喜んでくれた。

 

それに続いて、
違うヒターノがブレリア を歌い始めた。

 

それを見ていた、
ギタリストの若いヒターノが

 

若「いまの所は、コルテをこんな感じに入れるといいよ!」

と言ってくれた。

すると今度はピリニャーカの孫だという兄ちゃんが

兄「ここのところは、もうちょい前にこんな感じで…」

と教えてくれた。

 

それを見てやってみると、2人は大笑いしながら

「メロンシートはヘレスの秘密を
全て日本に持って帰るつもりやぞ~!」

とおおはしゃぎで喜んでくれた。

 

頼んでもいないのに次々と
出てくるビールとモンタイート。

 

気がつけば端で踊ってる人がいたり、
パルマだけをやってる人がいたりした。

 

みんな自分を好意的な目で見てくれている。

 

そんな人達が40人くらいにまで膨れ上がっていた。

 

最初は3人のヒターノと自分だけだったのに…

 

もはやこの中で言葉の必要のない強い信頼関係が生まれていた。

 

突然、ミヒータの弟が言ってきた。

弟「メロンシート!今日泊まるところは決まってるのか?」

自分「いや、泊まるつもりがなかったから。
今からセビージャに戻るよ!」

弟「いま何時か分かってるんか?」

自分「えっ、何時なん?」

と外を見ると薄暗くなってる。

弟「23時30分やで!電車もバスもあらへんで!」

自分「えっ、あれから8時間も経ってたのかーーー!」

弟「ゆうとくけどヘレスは泊まるところが少ないでぇ!
俺の友達のオスタルにとりあえず空いてるか聞きに行こう!」

と言ってくれた。

 

ギターを片付けて、
担いで外に出るとスペインといえども流石に暗い。

 

弟に着いて行くと、後ろから

「おいメロンシート!キャリー忘れてるぞ!」

と言って引っ張って来てくれた。

礼を言って持とうとすると、

「いや、俺が持って行ってやるよ!
いくらヘレスと言っても悪い奴もいるから気をつけろよ!」

と言ってくれた。

 

後ろを振り返ると、
フィエスタにいた人達が少なくとも20人以上ついてきていた。

 

この後の自分の動向がみんな気になるらしい…

 

弟の友達のオスタルに到着して呼び鈴を鳴らした。

 

ガチャ…と

 

重い扉が開いて中から眼鏡をかけたおっさんが出てきた。

弟「今夜、一部屋なんとか出来ひんか?」

オ「いや、今週は満室なんや」

弟「どうしてもあかんか?この日本人、めっさ友達やねん!」

オ「なんとかしたいのは山々なんやけど、
ほんまに空いてへんねん。申し訳ない!」

と言って、こっちを見た。

 

他の連中もそれを見ていて、
それぞれ知ってるところに電話をかけ始めた。

 

すると、弟が

弟「ワシの家でよければ泊まってええで!」

自分「えっ、マジで!」

弟「ええよ!これ鍵やし、渡しとくわ」

なんという結末…

 

今日、初めて来たヘレスで
初めて会った人達とフィエスタになって…

 

そこで信頼関係が生まれて部屋を貸してくれる。。。

 

自分の人生の中で起こった事の中でも最も素晴らしいの1日

 

あ、そうそう
そういえば誰かが言ってたな。

 

フィエスタというのは自然発生的に起こるもんだと…

 

なるほど、今日は誰もがそんなことが
起こるなんて思いもしてなかったわけだ。

 

そんな何気ない日常から大冒険をしたわけだ。

 

そうだ、この素晴らしい経験は
自分の中にそっと閉まっておこう。

 

決して、またやりたいとは思わず

 

あくまでも自然発生的に…

 

そして、翌朝…

 

ヘレスの街を散策していると
後ろからずっとついてくる奴がいる。

 

ん、誰だ?

 

今度は前から同じ奴が来た。

 

今度は横から来た…いったい誰なんだーーー!!!

 

目の前には二匹目のドジョウを狙った「ミヒータ・イホ」が立っていた。

 

あれ、、、

フィエスタって確か自然発生的なはずだよね?

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